校長挨拶


 入学式 式辞                   学校長 御舩 斎紀

おとといまではつぼみでしたが、今日のこの祝いの日に豊かに花開いた桜花の祝福を受けながら、本日ここに、佐伯健二同窓会長様、横山隆義鳥取県議会議員様、松本昭夫北栄町長様、土海孝治湯梨浜町教育長様、西田寛司三朝町教育長様、若原道昭鳥取県教育員会教育長職務代行者様、各中学校長様、本校PTA会長様、北栄町議会議員の皆様ほか多数の御来賓の皆様のご臨席を賜り、平成29年度鳥取中央育英高等学校入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであり、心から感謝申し上げます。

ただいま、入学を許可いたしました153名の新入生の皆さん、保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。私たち教職員一同心から歓迎いたします。

さて、新入生のみなさん、本日ここに鳥取中央育英高等学校の一員となったわけであります。本校の校名にある「育英」について少し述べます。本校には創設者がおられます。豊田太蔵先生ですが、先生は「神話の時代から栄えた山陰は、明治の時代になってから立ち遅れてしまった。山陰を発展させるためには人材を育てねばならない」と、教育が大切であるという切実な思いから、ご自身の私財をなげうって明治39年山陰唯一の私立「育英黌」をこの地に開校されたのです。

「育英」とは、中国の偉大な思想家孟子の言葉がその由来で、素晴らしい才能を持った若人を集めて教育することはこの上ない楽しみであるという意味です。

続いて、本校の校訓「克己」ですが、これは己に勝つという言葉で、自分の私利私欲や弱い心に打ち勝つという意味と、明確な目標に向って日々努力し、自分を磨くことを怠らないという意味があります。将来世の中に貢献する有為な人材になるために必要な精神です。

すばらしい才能を秘めた君たちのような若人がこの学校に集い、克己の精神で学習や部活動に取組み自分を磨くことによって世の中に貢献する人材となる。これが本校の校名「育英」、校訓「克己」にこめられた意味です。

本校のルーツである育英黌から今年実に110年目を迎えます。110年の間に、世に出られた多くの先輩たちは、この育英黌の精神を具現化するように、各界で活躍され、世の人たちの幸せに貢献しておられます。

育英黌からすると110期生という記念すべきみなさんには、本校の校名・校訓にあるとおり、高い志・目標を立て、挑戦する精神で物事にあたってもらいたいと思っています。

本日、桜が咲いてくれてほっとしています。というのも、おとといまでは一向に咲きそうもなく、桜舞い散る入学式ができないなと残念に思っていたからです。しかし、たとえ桜が今日に間に合わなくても、必ずいつかは咲くものです。どの桜もどの木も、咲く能力を持っているのです。それぞれの木々の性質や気候などの環境により咲くのに早い遅いがある、それだけです。必ず咲きます。それはちょうど君たちと同じです。君たちの誰しも、花咲く力、すなわち自分の夢を実現させる力、成功する力を持っているのです。  

ただ、桜の木々たちとわたしたち人間とが違うのは、わたしたち人間は「咲こう」という意志を持ち、咲くための努力をしなければ咲けないという点です。桜の木々は、自分の持っている可能性を疑うことなく花開くことに全力を注ぐだけです。ところがわたしたちは、自己意識というものがあって、自分の持つ可能性を疑う心がある。そうして、咲こうとする意欲を持ち続け、努力し続けることは面倒だと、早々とあきらめて、努力しない理由を探したりしてしまいます。往々にして主観的で偏りがちな「自己意識」は、失敗するのをいやだと思うからです。

私たち人間は、桜の木々のように、自分の持っている可能性を疑うことなく信じてその実現に全力を注ぐべきです。それが、本校の校訓「克己」、明確な目標に向って日々努力し、自分を磨くことを怠らない克己の精神、挑戦する姿勢なのです。

本校教職員は、君たちの可能性を信じています。だから、果敢に挑戦するみなさんを応援します。

もちろん、挑戦には失敗はつきものです。挑戦する勇敢な人は失敗を経験する。それが難易度の高い挑戦であればあるほど失敗の確率は高い。

人類史上初の快挙となるエベレスト登頂に成功したエドモンド・ヒラリーは、エベレスト登頂という最も難易度の高い挑戦に失敗したときに、「エベレストよ、今日は私たちの負けだ。だが必ず舞い戻って登頂してみせる。なぜなら、山はこれ以上大きくならないが、私はもっと成長できるからだ。」と語り再びエベレストの前に立ったのです。

失敗がなければ夢や目標に近づけないのです。野球の神様と呼ばれ長く大ホームランバッターであったベーブルースは、三振も多く、そのことについて「三振を恐れていては何もできないよ」「ホームランを打ち続けるには、振り続けなければならないからね」と応えたといいます。だから私たちもみなさんの挑戦した結果の失敗は、むしろ高く評価したいと思います。

今、世界の動きは激しく、予想しない事態が何の前触れなく起こっています。更に今ある仕事の65%が百年後にはなくなっていると予測されるなど社会の仕組みが変化しつつあります。

こうした時代を生きる皆さんは、変化に対応しながらより最適なものを創りあげていく力、生き抜く力を持たなくてはいけません。

問題を見極め、それを分析し、解決につなげる力が必要です。本校ではそのための基盤となる学力をつけ、さらにそれを活用して問題を解決していく能力を身に付けます。そのために、日々の教科の学習に加えて、本校の大きな特色である地域探究の時間や、その成果を他県の高校とともにさらに探究を広げ深める地域創生ハイスクールサミット、ここに御臨席賜っている北栄町議会の御協力をいただき開催する高校生議会などさまざまな取組みがあります。

挑戦する精神、克己の精神を発揮して、本校のこれらの取り組みでしっかり学べば、大きく変動する先の読めない未来で最も輝くのは、あなたたちだ、私は確信を以ってそう言います。

終わりになりましたが、保護者の皆様、皆様と学校の願いは同じです。皆様とともに、お子様の成長のために互いに協力し合える良い関係を築いていきたいと考えています。

私ども教職員一同、お預かりするお子様たちが今日のこの桜のようにもてる可能性が存分に開花するよう信念と情熱を持って教え育てていくことを誓い、新入生歓迎の式辞といたします。

 

平成29年4月7日

鳥取中央育英高等学校 

校長 御舩斎紀